東濃の核融合科学研究所もんだい

D-D実験は核のごみ捨て場のはじまり?

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核融合炉の誘致は危険で無駄 小柴昌俊(論壇)

朝日新聞(2001.01.18) 東京朝刊 15頁 オピニオン1
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新年度予算案に国際熱核融合実験炉(ITER=イーター)の立地予備調査費一億円が盛り込まれた。

際に造るとなれば、建設費だけで五千億円はかかるという巨大計 画である。あまりにお金がかかるので、国際協力で造ろうとレーガン、ゴルバチョフ米ソ首脳が合意したのが一九八五年だった。以後、米ソに日欧も加わった四 極が分担して工学実験と設計を進めてきたが、米国は九八年にこの計画から撤退した。

それでも残る三極で設計を進め、一応の図面は引けたらしい。原子力委員会に設けられたイーター計画懇談会(吉川弘之座長)は、日本誘致の方針を打ち出したとも聞く。

核融合には、「二十一世紀の夢のエネルギー源」といった形容詞が つくことが多い。実用可能になるまで今後長期にわたる研究開発が必要だが、もし実現すれば、核分裂反応からエネルギーを取り出す普通の原子力発電と比べ安 全対策が容易で放射性廃棄物も格段に少ないといわれている。

しかし、物理学を学んできた筆者から見ると、核融合発電には致命的ともいえる欠陥がある。この欠陥が国民に十分に知らされないまま、誘致の方向が決まろうとしていることに強い憤りを感じる。

重水素と三重水素を融合させようというのがイーター計画だが、そのとき高速中性子が大量に出る。これら高速中性子は減速されないまま真空容器の壁を直撃する。この際起こる壁の放射線損傷は、われわれの経験したことのない強烈なものになることは疑いない。

普通の原発であれば、飛び出た中性子は周りにある減速剤によって減速されるから、こうした問題は起こらない。

かつて、イーター計画関係者に、壁の放射線損傷をどうするのか尋 ねたことがある、すると、六カ月で取り換えられるように壁も設計されているという返事が返ってきた。それなら、これによる稼働率の大幅な低下、コスト上昇 はどうするのか、それより何よりそんなに大量に出る放射性廃棄物をどう処理するのか問いただしたが、ついに納得のいく返事を得られなかった。

この計画の最初の主唱者であった米国が、この十年近くの経済の好況にもかかわらず、いちはやく撤退してしまった理由はこの辺にあったのではなかろうか。

新しいエネルギー源を核融合に求めようというなら、壁を損傷する高速中性子が出ない別の反応を取り上げるべきだろう。例えば、ヘリウム3と重水素、あるいは重水素と水素二個の三体反応などがありうる。

これらの実現には更に高い温度と密度を必要とするから、発想を大きく転換してかからなければならないだろう。どちらにしても、イーターをいま造ることは単なる税金の無駄遣いにしかならないのではないか。

国民のお金を使うのに、消費型と投資型とがある。投資型がすべて無駄遣いであるというつもりはない。将来に向けて必要な投資は、しなければならない。ただ、巨額になることが多いのだから、その計画の弱点も含めて国民に知らしめてから判断を仰ぐべきだと思う。

筆者は、ニュートリノと呼ばれる素粒子の性質を調べるという、何ら現世的見返りのない研究をしてきた。そのために岐阜県神岡鉱山の地下に実験装置を造り、百数十億円もの税金を支出してもらった。そんなお前が何を生意気なことを言うかといわれる向きもあるかもしれない。

これに関しては、現役時代、毎年二人くらい研究室に入ってくる大学院学生に対して「おれたちはな、国民の血税をもらって自分たちの夢を追わせて頂いているんだぞ。かりそめにも無駄をしてはならないぞ」と繰り返し言い続けたことに免じてお許しを願いたい。

(こしば・まさとし 東京大学名誉教授<素粒子物理学>=投稿)

朝日新聞社

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ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏らが
国際核融合実験装置(ITER)の
日本誘致の見直しを求める嘆願書を
総理大臣、閣僚、衆参両院議長、青森県知事など
に送付しました。

 

(元スイス大使の村田光平さんから仲間たちに送られたものを転載)

東濃の核融合科学研究所の問題にもつながる核融合炉の抱える問題を端的に指摘しています。

<嘆 願 書>

「国際核融合実験装置(ITER)の誘致を見直して下さい。」

理由: 核融合は遠い将来のエネルギー源としては重要な候補の一つではありま す。しかし、ITERで行われるトリチウムを燃料とする核融合炉は安全性と環境汚染性から見てきわめて危険なものであります。この結果、たとえ実験が成功 しても多量の放射性廃棄物を生み、却ってその公共受容性を否定する結果となる恐れが大きいからです。

・ 燃料として装置の中に蓄えられる約2キログラムのトリチウムはわずか1ミリグラムで致死量とされる猛毒で200万人の殺傷能力があります。これが酸素と結 合して重水となって流れ出すと、周囲にきわめて危険な状態を生み出します。ちなみにこのトリチウムのもつ放射線量はチェルノブイリ原子炉の事故の時のそれ に匹敵するものです。
・ 反応で発生する中性子は核融合炉の10倍以上のエネルギーを持ち、炉壁や建造物を大きく放射化し、4万トンあまりの放射性廃棄物を生み出します。実験終了 後は、放射化された装置と建物はすぐ廃棄することができないため、数百年に亘り雨ざらしのまま放置されます。この結果、周囲に放射化された地下水が浸透し その面積は放置された年限に比例して大きくなり、極めて大きな環境汚染を引き起こします。

以上の理由から我々は良識ある専門知識を持つ物理学者としてITERの誘致には絶対に反対します。

平成15年3月10日

小柴昌俊(ノーベル賞受賞物理学者)
長谷川晃 (マックスウェル賞受賞者元米国物理学会 プラズマ部会長)


<嘆願書の送付を伝える報道>

03/17 20:15 毎: <ITER>誘致見直しの嘆願書提出 小柴名誉教授ら連名で

毎日新聞ニュース速報

日本、欧州、ロシアなどが進める国際熱核融合実験炉(ITER)計画に対し、計画に批判的な物理学者が誘致の見直しを求める嘆願書を内閣府などに提出していたことが17日、分かった。

内閣府によると嘆願書は今月11日に届けられたといい、長谷川晃・元米国物理学会プラズマ部会長と、ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊・東京大名誉教授の連名になっていた。誘致反対の理由として、実験により多量の放射性廃棄物が出ることなどを挙げている。

ITERは未来のエネルギー源とされる核融合が科学的、技術的に実現可能かを検証する施設で、炉本体の建設費は約5700億円。今年夏ごろに建設予定地が決まる。日本は青森県六ケ所村を候補地として提示している。 【金田健】

[2003-03-17-20:15]

03/18 12:27 朝: ノーベル賞の小柴さんら、ITER見直し求め嘆願書
朝日新聞ニュース速報

政府が青森県六ケ所村に誘致している国際熱核融合実験炉(ITER)の計画に対して、ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊・東京大学名誉教授らが見直しを求める嘆願書を文部科学省などに提出していたことが18日わかった。
文科省によると、嘆願書は長谷川晃・元米物理学会プラズマ部会長との連名。核融合炉の運転によって多量の放射性廃棄物が出ることなどを理由に挙げている。
ITERの誘致は日本のほか、フランス、スペイン、カナダが表明。核融合によるエネルギー開発が可能かどうかを検証する実験炉で、建設費は約6000億円と見積もられている。

[2003-03-18-12:27]

 

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